足立の昔がたり
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ウナギのお告つげ 昔、遊あそま馬村むらに、働はたらき者で親孝こうこう行の息子が住んでいた。自分のことより家や親に尽つくし、その孝行ぶりは村でも評ひょうばん判だった。同じ年ごろの子どもを持つ親たちは、自分の家の子どもも、その息子のようになってくれればいい……と願ねがっていたものだ。ところが、あるとき、息子は何の前ぶれもなく、病気になってしまった。いったいどうしたことかと、両親は心配で心配でならなかったが、お医者に診みせても、息子の具合はよくならない。それどころか、日いちにちと弱っていくありさまだ。そんな、ある晩ばんのこと。父親が寝ねていると、夢ゆめまくら枕に※何とウナギがあらわれて、こう告つげた。「私わたしは毛け長なが川がわのウナギだが、おまえの息子の命を救すくえるのは、ウナギ以いがい外にはない。これからは、私の仲なかま間のウナギを食べさせなさい」それから毎日、父親は毛長川に行ってはウナギを捕とって、息子に食べ��96

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