足立の昔がたり
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それから数年たった夏の日。何日も大雨と暴ぼうふう風が続いたあと、長さ三、四メートルもある真っ黒い髪かみの毛が、沼に流れているのを村人が見つけた。さっそく新里の長者の元に届とどけると、長者は「ようやく娘が、帰ってきてくれた」と、とてもよろこんだ。その後、長者が沼の近くに祠ほこらを建たて、その髪をご神体と※してまつると、沼に不ふしぎ思議なことはおこらなくなった。この沼のことを「毛長沼」、この沼に続く川のことを「毛長川」と呼よぶようになったのは、それからだ。100

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