足立の昔がたり
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これは塚のたたりにちがいない……と、恐おそれた村人は、すぐに刀を塚に埋うめ戻もどし、その上に、新しく松の木を二本植えた。すると家の者の病気も治なおり、二本の松も大きく育っていったという。そして、いつしか地元の人たちは、この塚のことを「二本松」と呼ぶようになった。 また、「六本杉」という呼び名については、次のような話が伝わっている。奥おうしゅう州へ※戦いくさに向かう源みなもとの義よしいえ家の一行が、敵てきにおそわれないように、まわりがよく見えるこの塚の上で、家来三人と食事をした。食事をすませた義家の三人の家来は、自分たちが使った箸はしを塚の上にさして、戦に勝つようにと、神さまに祈いのった。その後、めでたく奥州での戦に勝った義家は、奥州から帰る途とちゅう中、またこの塚に立ちより、戦に勝ったお祝いわいに、源げんじ氏の旗はたじるし印である白旗をこの塚の上に立てた。そこから、白旗塚の名が付ついたといわれている。そして、三人の家来が塚にさした六本の箸からは、杉の芽めが出て、大きく大きく育っていった。107

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