足立の昔がたり
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112そのとき、男は切った大ヘビからふき出した血を体中にあびてしまったのだが―実は、この血には、たいへん強い毒どくがあったのだ。男は大ヘビとの戦たたかいには勝ったものの、その毒のせいで、数日後には死んでしまった。村の人びとは、この男の死に心をいため、その亡なきがらをていねいにほうむり、そこに榎えのきの木を植えた。そして、殺ころされた大ヘビのたたりを恐れ、「水神」としてまつることにした。これが、いまの「水すい神じんじゃ社」だ。 昔は、このお話にあったように、「水神の池」という沼と「小宮榎」という榎の大木があったそうだ。その大木は、よく目立つことから道行く人の目めじるし印になっていたらしい。今では沼も榎もなくなってしまったけれど、「水神」という名と神社は残のこっているよ。※胆がすわる↓どっしり、落ち着いていること。※腕におぼえがある↓身につけた技わざや才さいのう能に自じしん信があること。

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