足立の昔がたり
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「夜泣き地蔵」というと、まるでお地蔵さんが夜に泣くみたいだけれど、実は正反対の話。まだ十分にコミュニケーションのとれない赤ちゃんを育てる苦くろう労は、昔も今も、あまり変かわらないみたいだね。ところが、その夜は、なかなか泣き出さない。今に泣くか、今に泣くかと、不ふあん安な気持ちでいたけれど、ついには泣き出さないまま朝になった。よろこんだ母親は、さっそく、宝積院のお地蔵さまにお礼まいりをした。そして、これからも赤ちゃんが夜泣きなどしないようにと、深くお祈りしたのだった。このことがあってから、宝積院のお地蔵さまは、赤ちゃんの夜泣きを止める「夜泣き地蔵」として、保木間村だけでなく、近くの村の母親からも、お祈りされるようになったということだ。117

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