足立の昔がたり
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130その動作を何度もくり返していたおじいさんだったが、ふと我われにかえって―。「しまった、キツネに化かされたか」きっとキツネに化かされたおじいさんには、そこが川に見えたのだろう。そして、おじいさんは、もと来た道をあわてて戻もどっていった……ということだが、ひとつの村に、人とキツネやタヌキがいたころは、こんな話が、あちらこちらで聞かれたそうだ。中川堤づつみには、昭和三十七、八年(一九六二、三)ごろまで、約やく三・五キロメートルにわたって、およそ千本の桜が植えられていたよ。荒あらかわ川堤の桜とともに、花見の季きせつ節には、とてもにぎわったそうだ。けれど今は、二本だけになってしまっている。残ざんねん念だね。

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