足立の昔がたり
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辰たつ沼ぬまのキツネの嫁よめ入り昔、辰たつぬま沼は、細長い辰の形をした沼があったことから、その名が付ついたといわれている。今では家がたくさん建たっているけれど、つい数十年前ごろまでは、茅かや葺ぶき屋根の家がある農村だった。そのころのこと―春から夏にかけて、夜に辰沼から南西の方をながめると、よく不ふしぎ思議な光が見えた。家もない田んぼや畑の中に、ポツンとあかりがついたと思うと、そのあかりがふたつ、三つ、四つ、五つと増ふえていったり、パッパッと消えたりするのだ。またはじめから、たくさんのあかりが一列にならんで、ゆらゆらと進んでいくように見えることもある。こうした不思議なことがおこるのを、辰沼の人びとは、「キツネの嫁入り」と呼よんでいた。��131

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