足立の昔がたり
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ネコの好きな名な主ぬしさん 東とうわ和一丁目のあたりを、昔は蒲かばら原と呼よんでいた。蒲原は、江えど戸時代のはじめに、新しい田んぼとして開かれたが、そのころは土地が低ひくく、あたり一面に蒲がまがはえていたので、蒲原の名が付ついたといわれている。この蒲原の名主に※、「春かすが日五ご太だゆう夫」という人がいた。春日家には子どもがいなかったので、近くの村から婿むこようし養子としてやって来た人だ。それだけに、長く続つづいてきた名主の家名をけなさないように、一いっしょうけんめい生懸命に家の仕事にはげんでいた。田畑の手入れはもちろん、名主として村人を教えたり、助けたりして、とても人気があった。五太夫は、ネコをかわいがることが大だいす好きだった。仕事の間にも、ネコをひざにのせて、なでてやったり、おいしいものがあると、自分の分をネコに分けてやっていた。��133

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