足立の昔がたり
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てやった。すると、どうだろう、今まで浮き出ていた「春日五太夫」という文字が、消えてしまったのだ。それからも奥さんは、このネコを夫の生まれ変わりとして、大切に飼かってやったということだ。 135他の地方では、生まれてきた赤ちゃんの足の裏うらに、先せんぞ祖の名前が書いてあったという話があるよ。また、小こいずみ泉八やくも雲が書き記した『怪かいだん談』の中にも、「力りきばか」という話があって、これはやさしいけれど不ふこう幸だった少年が、お金持ちの家の子として生まれ変わる話だ。※名主・・・江戸時代に、町人や農のうみん民の中から選えらばれて、村や町を治おさめていた 人のこと。

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