足立の昔がたり
14/152

10千せんじゅ住大橋と大カメ 昔、隅すみだがわ田川はよく氾はんらん濫して洪こうずい水をおこしたので、荒あらかわ川(あばれる川)とも呼よばれていた。その隅田川に最さいしょ初にかけられた橋が、千住大橋だ。江えど戸時代のはじめ、徳とくがわ川家いえやす康が関かんとう東を治おさめるようになったとき、隅田川に橋をかけることを考えて、その工事を伊いな奈忠ただつぐ次という人に任まかせた。いよいよ工事がはじまり、橋はしぐい杭を川かわぞこ底に打ち込こむと、一ヶ所だけ、どうしても杭が入っていかない場所があった。 それはどうしてかというと、この川には大きなカメがすんでいて、そのすみかが、ちょうど橋の下の川底にあったからだ。橋杭を打ち込もうとすると、そのカメの甲こうら羅に当たってしまう……というわけさ。そこで杭を打つ場所を変かえて、どうにか打ち込むことができた。けれど、そのせいで橋杭と橋杭の間かんかく隔が同じではないところができてしまって、見た目が少し悪くなってしまった。�

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です