足立の昔がたり
18/152

クジラは船頭さんたちに追い立てられ、ついには葦あしの生い茂しげる浅あさせ瀬に乗り上げてしまった。多くの千住の人たちは、写真や絵でしか見たことがないクジラを目まの当たりにして、さぞおどろいたにちがいない。 クジラは浅瀬で死んでしまい、あくる日には馬車でやって来た見みせ世物もの小ごや屋の人に引き取られていったということだ。このお話は、明治四十一年(一九〇八)にクジラが川をさかのぼったできごとと、大洪水として有名だった明治四十三年(一九一〇)の話がもとになっているよ。海の生き物が川をのぼってきてしまうことは、今でもたまに聞く話だね。昭和四十九年(一九七四)、千住大橋からさらに上流の戸とだ田橋(板いたばし橋区く)近くに、数匹ひきのイルカが迷まよい込こんできたという記きろく録があるよ。※荒川↓今の隅田川。14

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です