足立の昔がたり
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1018やりかけ松まつ 江えど戸時代の千せんじゅ住は、たいそうにぎわった町だった。江戸の入り口に四つあった宿しゅくば場町のひとつで、千住宿と呼よばれていた。その千住宿をほぼ南北に通る日にっこう光街かいどう道にそって、たくさんの宿やどや屋や店がならび、多くの人が行き交かっていたそうだ。そんなにぎやかな千住宿に、水みと戸街道を通ってきた水戸黄こうもん門―つまり徳とくがわ川光みつくに圀の行列が入るときのことだ。千住宿の入り口にある清せいりょうじ亮寺の門の前に、みごとな松が一本、立っていた。松の枝えだえだは力強く四方に伸のび、太い幹みきが水戸街道におおいかぶさるように伸のびて、まるで緑のトンネルのように、街道に涼すずやかな影かげを落としていた。光圀一行はその美しさに見みほ惚れたが、困こまったことに、行列の槍やり持もちがそのまま進めば、長い槍が松の幹にぶつかってしまう。�【清亮寺】日ノ出町42-1

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