足立の昔がたり
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1321子こ福ふくさま 昔、千せんじゅ住の長ちょうえん円寺じは木々におおわれ、裏うらやま山には竹やぶがあって、昼でも暗いところだった。この裏山に大きな木が一本立っていて、その木のうろには、数すうひき匹のキツネがすみついていた。このキツネたちは、ふだんは裏山から人里の方に出てくることはなかった。ところが、ある年の冬、いつもの年とはちがって寒さがたいそうきびしく、たびたび雪が降ふった。そうなると、キツネたちも食べ物を見つけることがむずかしくなって、とうとう町の中に出てきては、人の家から食べ物を盗ぬすんでいくようになってしまった。一度や二度ならともかく、そんなことがたび重なると、町の人たちも黙だまってはいられない。みんなで集まって、どうしたらいいか相談したものの、これといった案あんが出なかった。�【長円寺】千住四丁目27-5

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