足立の昔がたり
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おそばの好きなえんまさま 千せんじゅ住にある金こんぞうじ蔵寺のご本ほんぞん尊は※、えんまさま。えんまさまは死後の世界で、死んだ人を地じごく獄へ行かせるか、極ごくらく楽へ行かせるかを決める役目をしていて、えんま大王とも呼よばれている。えんまさまの前では、嘘うそをつくことはできない。「じょうはりの鏡かがみ」という不ふしぎ思議な鏡を持っていて、そこに真実を写し出すことができるからだ。だから嘘をついても、すぐにわかってしまう。もし嘘をついたら、罰ばつとして舌したを抜ぬかれてしまうのだ。そんな風に怖こわいえんまさまだけど、実は、おそばが大だいす好きだったという話。金蔵寺は、千住宿の東ひがしがわ側にある裏うらかいどう街道に面したところにあった。まわりは田んぼや畑だったから、あたりはとても静しずかだったけれど、日にっこう光街かいどう道沿ぞいの旅はたご篭や※店のにぎやかな音や人の声は、金蔵寺にも伝つたわってきていた。もちろん、そば屋さんのおいしそうなにおいも……。�【金蔵寺】千住二丁目6323

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