足立の昔がたり
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31 とう按摩が答えると、声の主は足ばやに去って行った。 やがて身みじたく支度を整えたとう按摩は、夜道を歩いて、教えられた家へたどりついた。 ところが、「とう按摩がまいりました」と声をかけると、「うちでは頼たのんでいませんよ」という、思いもかけない返事。「はて、おかしいなあ」 とう按摩は、すごすごと寺へと帰るしかなかった。 その後も同じようなことが何度もあって、困こまり果はてたとう按摩は、村人に相談してみた。話を聞いた村人は、腕わんりょく力の強い若わかもの者を三人ほど寺の雨戸の内うちがわ側に張はり込こませることにした。

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