足立の昔がたり
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32数日たったある晩のこと―。遅くなってから、雨戸を叩く者があった。待ち構かまえていた若者が雨戸を引き開けると、まるまると太ったタヌキが、雨戸の内側へころげ込んできた。どうやら尻しっぽ尾で扉とびらを叩いていたので、急に扉を開けられたために、ひっくり返ってしまったらしい。 このタヌキは、とう按摩がいそいそと出かけて行き、やがてションボリして帰ってくるすがたを見るのが面白くて、こんないたずらをしていたのだった。

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