足立の昔がたり
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40そして五人は自害したが、まつるための石を建てるのに適てきとう当な場所がない。困こまっているところに、「それなら私の土地に建てなさい」と気持ちよく引き受けてくれる人がいて、それが今のお地蔵さまのある場所なのだった。建てられた石はやがて、お地蔵さまにすがたを変え、村人たちを何度となく救ってきたという。とくに皮ひふびょう膚病にききめがあるということで、「いぼ地蔵さま」の名が付つけられて、島しまね根はいうにおよばず、梅うめだ田や栗くりはら原と信しんじゃ者の数は広がって、お線せん香こうが絶たえなかったそうだ。※講中↓神や仏ほとけをまつり、お参まいりする人たちのこと。※朝廷↓昔、天てんのう皇が政せいじ治をしていたところ。※大八車↓大きなふたつの車しゃりん輪がついた、人が引く荷車のこと。※天領↓江戸時代、幕府が直接治めていた土地のこと。

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