足立の昔がたり
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42けれど、その夜のこと―あろうことか、お を焼やいた火から火事を出してしまった家があった。そのために、火を出した家をふくめた村のすべての家が、きびしいおとがめを受けてしまった。こうしたことがあってから、村では、お正月に火を使って、お を食べないことになった。それから、何年か後のこと。この四ツ家村からとなり村へ、引ひっ越こしをした家があった。ちがう村に移うつったのだから、もうお を食べてもいいだろうと思い、お正月にお雑ぞうに煮を食べた。ところが、いく日もたたないうちに、その家から火事が出て、すべてを灰はいにしてしまった。それを聞いた四ツ家村の人びとは、お正月にお を食べることは、火の神さまのたたりにあうことになると思い、今まで以いじょう上に、 なし正月のしきたりを固かたく守っていくようになったそうだ。

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