足立の昔がたり
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46夕顔姫ひめ 昔、千ちば葉常つねたね胤という武ぶしょう将が、本もとき木村むら一いったい帯の領りょうしゅ主だったころ。常胤には夕顔姫ひめというたいへん美しいお姫さまがいた。このお姫さまは、顔が美しいばかりでなく、心もやさしい人で、本木村の素そぼく朴な土とちがら地柄がたいへん気に入っていた。そこで夕顔姫は、父親に頼たのんで本木村に家を建たててもらい、毎日楽しく過すごしていた。それから十数年たった、ある日のこと―何を思ったのか、夕顔姫はとつぜん頭をまるめて仏ぶつどう道修しゅぎょう行の道に入り、法ほうみょう名を妙みょうえん円とした。そして自分の住まいのそばに持じぶつどう仏堂を作り、尼あまさんとしての新しい生活をはじめた。仏門に入った妙円尼には、お経きょうを読むかたわら、村人たちの悩なやみごとの相談などにのったり、子どもたちに読み書きを教えたりして、多くの村人たちから慕したわれていた。��【瑞応寺】扇一丁目5-37

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