足立の昔がたり
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らい、掘ほりおこしてお土みやげ産に持ち帰ったそうだ。 そこに目を付つけた村人の中に、大おおくぼ久保喜きえもん右衛門という人がいた。喜右衛門の父親は新田の地で、お酒や豆とうふ腐を売る店を開いていたが、お客さんは、地元の農家の人ではなく、川かわごえ越方面から来る船頭さんであることが多かった。船頭さんは一度に多くの品物を買ってくれるが、店に来る人数は決まっていたので、儲もうけは少なかった。そのため、父親はいつも「もっとたくさんの船頭さんが来てくれたらなぁ……来られないのは、この店が、川岸から離はなれているからだろう」と、ぼやいていた。81

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