足立の昔がたり
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91薬はきかず、死人まで出るありさまだ。ある晩ばんのこと、図の島の名なぬし主が※眠ねむっていると、その夢ゆめまくら枕に※白ヘビがあらわれて、こう告つげた。「私わたしは諏訪神社の使いの白ヘビだが、沼が埋められてすまいがなくなってしまった。そこで諏訪(今の長ながのけん野県)に帰ることにしたが、今まで大切にしてくれたお礼れいに、いいことを教えよう。今、村では悪い病気がはやって、たいへん困っているようだが、図の島に茂しげっているひいらぎの葉を刻きざみ、せんじて飲んでみるがよい」目を覚さましてから名主は、沼を埋めてしまったことを後こうかい悔した。そして、お告げのとおり、ひいらぎの葉をせんじて飲ませると、病人たちは数日のうちに、どんどんと回かいふく復していった。

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