足立の昔がたり
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村人たちは名主から白ヘビの話を聞き、お諏訪さまへの信しんじん心が、それまで以いじょう上に深くなったということだ。また、諏訪神社のまわりには、こんな話も伝つたわっている。埼さいたまけん玉県の江えど戸袋ぶくろのお百ひゃくしょう姓さんが、畑で取れた野やさい菜を馬に引かせて、千せんじゅ住のやっちゃ場へ行った帰り道でのこと。舎とねり人の諏訪神社の近くまで来たとき、急に馬が大きな声をあげていななき、立ち止まってしまった。不ふしぎ思議に思って前を見ると、道をふさぐように、一本の丸太が横たわっている。馬が木におどろくのも妙みょうだ……と、よくよく見てみると、それは丸太ではなく、何と大きなヘビだった。そこでお百姓さんは、大だいじゃ蛇(大きなヘビ)に腰こしをおろし、キセルに※煙たばこ草をつめて一服した。そして、その灰はいを大蛇の腹はらに叩たたきつけると、灰と一いっしょ緒にキセルに溜たまっていたヤニが飛とび出して、大蛇の体についた。そのとたん、大蛇は急に速く動き出し、あっという間に見えなくなっ92

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