足立の昔がたり
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あまのじゃくなカエル 昔、足立区全体に葦あしが生え、あちらこちらに池や沼があったころのお話。皿さらぬま沼という土地にも池があって、そこに親子のカエルがすんでいた。親ガエルは子ガエルにいろいろなことを教えたが、子ガエルは必かならず、親ガエルと反対のことをいったりやったりしていた。自分の寿じゅみょう命を悟さとったある日、親ガエルは考えて、子ガエルにこう話した。「どうやら病気になってしまったようだ。私わたしの命もあと少し……だから死ぬ前に、おまえに伝つたえておきたいことがある。いいか、私が死んでお墓はかをつくるときは、とにかく一番低ひくい場所を選えらんでおくれ。いいね」そういい残のこし、親ガエルは数日後、息を引き取ってしまった。実は親ガエルは、こう考えたのだ―これまで教えてきたすべてのことを、まったく反対にいったりやったりしていた子だ。低くといえば高いところを選んで、お墓をつくってくれるだろう。��94

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