足立の昔がたり
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ところが子ガエルは、親ガエルが死んでしまったのをきっかけに、今までのやり取りを大いに反はんせい省した。「ぼくは、なんて親おやふこう不孝をしてきたんだろう。きっと父さんは、ぼくの行動を心配しているにちがいない。今回は父さんのいった通りにしよう」そう考えて、いわれた通りに一番低い場所を探さがし、親ガエルの亡なきがらを埋うめたのだった。やがて、大雨が降ふってきた。低いところに作った親ガエルのお墓は流されそうになってしまって、子ガエルはまわりに竹を植えたり、土を運んだりして、それを懸けんめい命に守ろうとした。そして最さいご後には、小高く土のある場所を選んで、移うつし替かえたということだ。竹たけの塚つかという地名は、その名なごり残だ……という話。カエルにはおヘソがないけれど、子ガエルも、とんだヘソまがりだね。やっぱり素すなお直なのが、一番いいみたいだ。また、竹の塚の地名は、古こふん墳にちなむという説も江戸時代にかかれているよ。95

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